分野別課題 船舶
このような課題をお持ちではないでしょうか?
OKMは船舶の安全運航と海洋環境保全に寄与する「信頼性の高いバルブ」を提供しています。
- 環境や用途に適したバルブがほしい
- 海洋環境保全に対応したバルブがほしい
- GHG削減に対応したバルブがほしい
環境や用途に適したバルブが
ほしい
船舶で使われるバルブは、運ぶ貨物や船型、サイズに応じてさまざまな種類があります。
船舶の暴露部で用いるバルブは、海水の影響を受けやすく腐食のリスクがあるため、塩害対策が必須です。
それに加え、船舶による安定した貨物の輸送を行うためには、用途に適したバルブを設置する必要があります。用途や設置環境は船舶によって多岐にわたるため、状況に合わせたカスタマイズが重要となります。
OKMの解決策
流体の性質、設置環境、用途に適したバルブを設計・提案します
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POINT1
塩害対策
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POINT2
条件に応じた柔軟な
カスタマイズ対応
船舶の暴露部で用いるバルブは、海水に含まれる塩分などの影響を受け腐食しやすいため、塩害対策が不可欠です。OKMでは、1年間に平均で約4万台以上、舶用業界向けにバルブを出荷していますが、バルブはもちろんその他の付属品(リミットスイッチ、配管継手、シリンダーなど)も、用途や設置場所に応じて、ステンレス素材の使用や塗装といった塩害対策を施しております。
また、中近東などの濃度が高い海水へは「二相ステンレス鋼」をご提案した経験もございます。

カスタマイズ対応
船舶によってバルブに求められる条件は異なります。既存の製品で対応できる場合もありますが、多くの場合、用途や設置環境に合わせた「柔軟なカスタマイズ」が必要です。オーケーエムでは、お客様が抱える課題を丁寧にヒアリングし、一緒に解決策を考えながら、最適なバルブを提供しています。

例えば、セメント専用船向けに「角形のバタフライバルブ」を新規開発した事例があります。
このバルブは、セメントの積込ラインや船内搬送コンベア近辺で使用するもので、角形配管にて運用できることが必須の条件でした。
また、万が一船体に重大な損傷が発生した際、コンベア側からカーゴホールド側への浸水を最小限に抑えるため、ゲート弁よりも高い封止性を持たせる必要がありました。
そこで、オーケーエムでは「長方形の本体および弁体形状」と「バタフライバルブの封止性」を両立したバルブを開発いたしました。

他にも、ケミカルタンカーのPOガス(酸化プロピレン)用バルブにおいても、「非常用ポンプを投入するスペースを確保するために、フルボアでありながら優れた封止性を持つバルブがほしい」という要望に応え、「カットスルース弁」を開発した実績があります。このように、オーケーエムではお客様の要望に応じた柔軟なカスタマイズに対応しています。
海洋環境保全に対応したバルブが
ほしい
昨今、国際的に地球環境保全の気運が高まっており、船舶においても運航時の海洋環境保全への積極的な取組みが続けられています。具体的には、バラスト水による自然生態系への影響や排気ガスによる大気汚染が世界的な課題としてあげられます。
これを受け、国際海事機関(IMO)は「バラスト水規制管理条約」や「海洋汚染防止条約(MARPOL条約)」といった条約を採択し、特定の船舶にそれらを遵守するための装置の設置を義務付けています。これらの装置には、それぞれの使用環境に対応したバルブが必要です。
OKMの解決策
海洋環境保全に必要となる各種装置に
対応したバルブを設計・提案します
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POINT1
バラスト水処理装置への対応
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POINT2
SOxスクラバーへの対応
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POINT3
排ガス(NOx)処理装置
バラスト水の移動で生態系を壊さないよう定められた「バラスト水管理条約」により、総トン数400トン以上の船舶にはバラスト水処理装置が設置されています。このバラスト水処理装置に用いられるバルブには、機関室近くに設置されるために発生する「振動」への対策や、出口弁の「高速な水流」といった部分への対応を求められることがあります。
振動がバルブに付属しているポジショナーに影響を与えると、流量制御の精度が低下する可能性があります。そのためオーケーエムでは、耐振動性能に優れたポジショナーを選定し、当社の経験上「共振の起きにくい門型ヨーク」へ付属する形で納入しております。
加えて、バラスト水処理時には、大量の海水が高速で出口弁を通過するため、バルブのシートがめくれる可能性が高まります。流速が6m/s以上となる場合、オーケーエムではシートライニング構造を持つバルブをご提案しています。この構造では、シートの溶着により、シートめくれを予防しています。

海洋環境保全や、船舶の排気ガスによる大気汚染への対応として、国際海事機関(IMO)が船舶燃料油の硫黄分濃度に関する規制(SOx規制)を定めています。そのため、船舶には排気ガス中に含まれる硫黄酸化物(SOx)の排出を抑制する装置(SOxスクラバー)の設置が必要です。SOxスクラバーは、1つの装置で海水・排ガス・浄化済み水など複数の流体を扱います。

オーケーエムは、厳しい腐食環境で使用される場所に二相ステンレスバルブをいち早く提案し、高い評価をいただくなど、これまでスクラバーメーカーへ提供したバルブは、累計800基分以上にのぼります。オーケーエムでは、それぞれの流体条件に対応したバルブの一括提案が可能です。
2016年以降に起工される船舶(130kW超のディーゼルエンジン搭載)は、ECA(大気汚染物質規制海域)の航行時に、NOx排出量を規制値以下に抑える「排ガス(NOx)処理装置」の搭載が必要となりました。処理装置には、「舶用SCRシステム(※1)」と「舶用EGRシステム(※2)」があり、どちらかを搭載することが義務付けられています。
この排ガス(NOx)処理装置バルブを製造できるのは、エンジンライセンサーの認証を得たバルブメーカーに限られています。オーケーエムは世界で最も早く型式認証を取得し、国内エンジンメーカーからの協力もいただきながら、「排ガス(NOx)処理装置」に対応したバルブ(ExVシリーズ)の量産化に成功しました。
下記が、一般的な高圧SCRのシステム系統図です。
船舶が運航中、主機(ディーゼルエンジン)から発生する排ガスは、一度排気集合管に集められたのち、脱硝処理が必要かどうかに応じて流路が切り換えられます。そのような流路の切換えや、過給機にて再利用される排ガスの流量や温度の最適調整のため、エンジン1基あたり4~5台の当社ExVシリーズが用いられています。

最新鋭の試験装置の導入や組立機の内製によって、年間約4000台を提供できる体制を整えております。その結果、2016年の発売以来、当社の排ガス処理装置用バルブExVシリーズは、世界シェアトップを維持し続けており、地球環境保全に寄与しています。
- 排ガス中に尿素水を噴射し、排ガスの熱でアンモニア(NH3)を生成。触媒上でNOxと反応させることで無害な窒素と水に分解する技術(装置)。正式名称は「選択触媒還元(Selective Catalytic Reduction)」。
- 排ガスの一部をエンジンに還流させることによりシリンダー内の燃焼温度を下げ、NOxの生成を抑制するシステム。
GHG削減に対応したバルブがほしい
地球温暖化への対策が国際的に注目される中、海運業界でも「温室効果ガス(GHG)削減」が大きな課題となっています。特に、既存燃料の重油から、LNGやメタノールなどの「低炭素燃料」、アンモニアや水素といった「脱炭素燃料」への転換が求められており、新燃料への対応が業界全体の共通課題となっています。しかし、これらの燃料を安全に取り扱うためには、低温流体への対応や火災時の安全性、高い耐久性を備えたバルブが必要です。
OKMの解決策
新燃料それぞれの特性に対応したバルブを提供します
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POINT1
低温流体への対応と
ヒートサイクル耐性 -
POINT2
ファイヤーセーフ機構
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POINT3
高い耐久性と安全性
GHG削減のために、今後船舶燃料としての使用が有力な新燃料(LNG・メタノール・アンモニア・水素など)を流体とするバルブは、幅広い温度帯で安定した性能を発揮する必要があります。燃料そのものが低温状態にある一方で、外部環境の高温にもさらされるためです。

なかでも、LNG燃料船では、バルブは極低温(-162℃)のLNGを制御するだけでなく、赤道を通過する際には、表面が80℃近くまで加熱される過酷な環境で使用されます。 こうしたヒートサイクルの繰り返しや冷却途中の不均一な温度分布といった使用環境でも安定した性能を発揮するバルブが求められます。

船舶に今後多くの使用が見込まれるLNG・アンモニア・LPGといった燃料は、環境負荷が少ない一方で、外部からの熱によって容易に気化するため、発火や爆発のリスクが存在します。そのため、バルブには火災時でも流体の漏洩を防ぐ「ファイヤーセーフ機構」が求められます。
「ファイヤーセーフ機構」を備えることで、シートやパッキンなどが焼失した場合でも、流体の著しい漏洩を防止することができます。
オーケーエムのLNG向け低温弁は、火災時に樹脂シートが焼失しても、メタルシートが流体を止める役割を果たすダブルシートリング構造を採用しています。製品開発時に実施したファイヤーセーフ試験を通じて、樹脂シートなどが焼失した場合でもシール性や動作性を保証する製品を納入しております。

船舶に使用されるバルブは、海上に出ると簡単に修理ができないことから、高い耐久性が求められます。オーケーエムのLNG向け低温弁は、建造から5年後に実施される定期検査までのメンテナンスフリーを目指し、長期間安定した封止性能を維持できるよう開発いたしました。
具体的には、LNGを流体として、常温・低温(-196℃)の環境下で5,000回開閉した後でも、造船所の要求するシール性能(10mL/inch/min)の維持を確認しています。
また、今後は新燃料に対応できる安全性も兼ね備える必要があります。LNGやアンモニアは、完全に燃焼されない状態で大気へ開放されてしまうと、大気や人体へ悪影響を与えるため、バルブへは厳しい締め切り性能が求められます。
例えば、アンモニア向けには、「ダブルフラップ型バタフライバルブ(ダブルフラップ弁)」をご提案可能です。

ダブルフラップ弁は2枚の弁体(羽根)を持つバルブで、1次・2次側よりも高い圧力の清浄空気(シールエア)を2枚の弁体に囲まれた空間へ供給し空気層を生成することで、確実な封止を実現する仕様です。2次側への流体漏れを確実に防止したい場合、バタフライバルブを2台設置し、間の配管へシールエアを封入することで、流体漏れを防止するのが一般的です。しかし、「ダブルフラップ弁」はその役割を1台で果たせるため、高い安全性と省スペース化を両立させることが可能です。