海運業界へも拡大する「脱炭素化」 ―Sea Japan 2024 出展に向けて―

公開:2024/4/5 更新:2024/4/5
記事執筆
オーケーエム・マーケティング部

当社バルブ製品の開発プロジェクトストーリーや実績、さらにカーボンニュートラル社会の実現に向けた取組みを、私たちマーケティング部が紹介してまいります。

海運業界へも拡大する「脱炭素化」

「脱炭素化(およびカーボンニュートラル)」の達成に向けた取組みは社会全体に課せられていますが、海運業界もその例外ではありません。

昨年、国際海事機関(IMO)にて合意されたGHG削減戦略においても、「2050年頃までにGHG(温室効果ガス)の排出をゼロにする」という目標に加え、「2030年までに輸送量当たりのCO2排出を、2008年比で40%削減する」といった数値目標が具体的に定められるなど、海運業界にとって目前の課題となって迫ってきています。

すなわち、LNGやメタノールといった低炭素燃料、アンモニアや水素といったゼロエミッション燃料(脱炭素燃料)の導入は、避けては通れない道と言えるでしょう。

舶用バルブメーカーとして長年ご評価いただいてきたオーケーエムも、そうした変化に対応すべく製品開発へ取り組んでおり、「Sea Japan 2024」の弊社ブースにて、その取組みの一部をご紹介させていただく予定です。

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◆Sea Japan 2024 出展概要
日時  : 2024年4月10日(水)~12日(金) 10:00~17:00
場所  : 東京ビッグサイト 東1・2・3ホール
弊社ブース : 3C-32 (ジャパンパビリオン(メンバーズゾーン))
入場料 : 事前登録制 (無料)
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オーケーエムの考える、海運業界における「脱炭素化」のポイント

さて、今回のSea Japanのキャッチフレーズは「次なる原動力は?」となっていますが、最後に“?”がついている通り、先行きが見えにくいと感じておられる方が多いのではないでしょうか。(私どもも同じ心境です)

「どの代替燃料が、勝者となるのか。」―さまざまな予測がなされていますが、オーケーエムとしては、どの燃料に対してもお役に立てる提案のできる企業でありたいと考えております。

海運業界の「脱炭素化」、すなわち代替燃料への転換が進んでいく中で、バルブに共通して求められるポイントは、次の2点ではないでしょうか。

①安全性

一つ目は安全性です。

例えば、次世代燃料の有力な候補として挙げられているアンモニアは毒性も合わせ持っており、非常に有害な物質でもあるため、外部への漏洩を許さない機構であることが最低条件となります。
また、メタノールは液体であるためハンドリングしやすい長所がありますが、引火点が低いため、こちらも安全面に配慮したバルブであることが求められます。

②コンパクトさ

もう一つは、コンパクトさです。

燃料転換によってGHG(温室効果ガス)の削減が実現できたとしても、船舶側では現在のサイズや空間を可能な限り維持する必要性があることでしょう。また、代替燃料用の追加タンクや燃料供給装置を搭載させる際、そのスペースは可能な限りコンパクトであることが望ましいだろうと考えます。そして、それはバルブに関しても当てはまります。

このように、安全性とコンパクトさを両立させ、なおかつ新エネルギーに対応できるバルブの開発をオーケーエムでは推進しています。

Sea Japan 展示予定品 紹介

それでは、今回の当社ブースにて展示を予定している製品の一部を紹介しましょう。

①船舶排ガス用バルブ”ExVHH”、および液化天然ガス(LNG)用バルブ”EFVLN”

 排ガス3次規制(Tier.3)の適用によって、2016年以降に着工される1000馬力以上の船舶へは、ECA海域を通過する際に、排ガスに含まれるNOxを基準値以下に処理することが義務付けられました。
 排ガス処理方式として代表的なSCR・EGRの装置内において、通常海域とECA海域を往来する際にバルブによる排気ガス処理回路の切換え需要が発生し、その過程で誕生したのが「船舶排ガス用バルブ”ExVHH”」です。
 約550℃近くになる高温の舶用排ガスへ耐え得るように設計され、延べ1300隻を超える船舶、5000台を超える台数のバルブ(※高圧SCR向けのみ)の搭載実績があります。

 また、低炭素燃料であるLNG(沸点: -161.5℃)向けのバルブも開発しました。重油よりも燃焼時のCO2排出量の少ないLNGは、ゼロエミッション燃料普及までのブリッジ・ソリューションとして注目されています。オーケーエムは、可燃性物質であるLNGを安全に運用するために必要不可欠であるファイヤーセーフ機構を持ちながら、極低温流体を安定的に封止できるバルブを開発し、日本国内のお客様を中心に採用実績が広がっています。

②内部漏れを確実に防止。~ダブルフラップ・バルブ~

 「次なる原動力」の候補の一つとして注目されているアンモニアは、「燃焼時にCO2を出さない」「既存の供給ラインを活用できる」といった長所がある一方で、燃焼時に排出されるN2Oを適切に処理しなければならないという課題があります。そのような課題に対して、お客様からの要望を受ける形で排ガス用バルブの技術を応用し開発した製品がダブルフラップ・バルブです。

 その名の通り、”二枚の羽根”を持っていることに特徴があります。この二枚の羽根で囲まれたスペースへ、流体圧力よりも少し高いシールエアを充填させることで、一次側から二次側への漏れを最小限にしてしまおうというバルブです。従来の方法では、バルブを2台直列で配置しなければならなかったところ、ダブルフラップ1台で二次側への流体漏れを阻止できるというメリットがあります。

③予防保全・省人化に向けた提案 ~ VAVTROL ++ ~

 さらに、将来的な「バルブを通した予防保全・省人化に向けた提案」に関する参考出展を予定しています。
 船舶には多くのバルブが使われていますが、個々のバルブに蓄積され得るデータについては、まだまだ活用できる余地があると考えています。バルブの動作状況・履歴等のデータを集約し管理できるソフトウェア、さらに予防保全へ繋げられるような開発を進めています。バルブと周辺機器を模した簡単なデモンストレーションも準備しておりますので、詳細はぜひ当社ブースにてお確かめください。

オーケーエムと舶用市場

 オーケーエムと舶用市場の関係の始まりは、創業当時までさかのぼります。

 船舶はいったん出航してしまうと、次の目的地に寄港するまで容易に修理・交換ができません。
 また、さまざまな海域を航行する中で、高湿地帯や海水等の過酷な動作環境にさらされても、当たり前に稼働し続ける「信頼性の高いバルブ」であることが求められます。

 当社は、国内外の多くの造船関連メーカーの厳しいご指導をいただきながら、これまで多くのバルブをご採用いただき、納入してまいりました。

【参考記事】船舶に使われるバタフライバルブ
船舶のなかでも安全に過ごせるのはなぜ?|オーケーエム バルブ製品ソリューションサイト (okm-net.jp)

 このような実績を活かし、海運業界共通の課題であるカーボンニュートラル達成に向けてチャレンジを進めているのが、現在の当社の局面です。

 今回のSea Japanでも、多くのお客様にご来場いただき、「こんなバルブは実現できないのか?」と気軽にお声掛けいただければと考えております。

 弊社社員一同お待ちしております。

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